心理学用語集・臨床 015 防衛機制
■ 心理学用語集・臨床 015 防衛機制 ■
防衛機制とは、不快な感情や体験を弱めたり、避けることによって心理的安定を保つために用いられる様々な心理的作用。通常、意識して生じることはない。防衛機制自体は、誰にも認められる正常な心理的作用で、通常は単独ではなく他のものと関連し合いながら作用する。
苦痛な感情を引き起こす受け入れがたい観念や感情を受け流すために無意識的にとる心理過程をフロイトが 防衛という用語で紹介して以来、さまざまな種類の防衛機制が精神分析学者たちによって検討されてきた。
■キーワード
▼提唱者
フロイト
▼定義
防衛機制とは、心の安定を図るための自我による無意識の調整手段。自我がイドや超自我、外界の要求やその間の葛藤を処理し、不安や不快の発生を防ぎ、人格の安定を得るための諸機制とされる。防衛機制は正常な心理的作用であるが、常習的に用いると病的な不適応症状が表面化される。フロイトの防衛の概念をもとに、娘のアンナ・フロイトが体系化。
防衛機制には、抑圧、逃避、退行、置き換え、昇華、反動形成、否認、同一化、投影、合理化などがある。
抑圧とは、苦痛な感情や欲動、記憶を意識から閉め出す無意識的な心理的作用。多くの防衛機制の中で、最も基本的なもので他のものと共に作用する。
逃避とは、空想、病気などへ逃げ込むこと。嫌悪刺激にさらされた時、引き続きさらされないような行動をとる。
退行とは、早期の発達段階へ逆戻りしたり、未分化な思考や表現の様式となること。幼児期への逃避などが行なわれる。
置き換えとは、欲求が阻止されると、より受け入れやすく、関連する別の対象に向けられること。転換や昇華、感情転移の中にも置き換えが含まれている。
昇華とは、性的欲求や攻撃欲求など社会に許容されない感情を、社会的に受け入れられる行動に変容して充足させること。置き換えを基本とする機制。欲求は抑圧されることなく、現実に向かうエネルギーとなる。
反動形成とは、受け入れがたい衝動が抑圧され、無意識的なものになり、意識や行動でその反対のものに置き換わること。「だらしない」代わりに「極端に几帳面」になる、「拒否感」を否定するために「過保護」になる、など。本心とうらはらなことを言ったり、行ったりする。
否認とは、外的な現実を否定し、認めない働きのこと。例えば、子どもは強いヒーローであるかのように空想したり振舞うことで、無力な存在であることから目を逸らそうとする。
同一化とは、自分にとって重要な人の属性を自分の中に取り入れること。投影とは、自ら受け入れがたい感情や衝動を自分から排除し、他人のものと位置づけること。相手に向かう感情を、相手が自分に向けていると感じる。
合理化とは、葛藤が伴う言動を正当化するために理由付けすること。合理化が成功すると、不安や葛藤は解消され、真の意味は意識化されない。「すっぱいブドウ」の論理や、失敗を偶然としたり外的要因とする場合なども含む。
※すっぱいブドウの論理とは
キツネが木にあるブドウを見つける。しかし、高い場所であるため取ることが出来ない。この時キツネは、「どーせ、あのブドウは、すっぱいさ」と言って立ち去る。ここから、このような心の働きをすっぱいブドウの論理という。好きなあの子に告白できないとき、「どーせ、告白しても断られるだけだし」と思うのも、すっぱいブドウの論理。
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